サイトリ・セラピューティクス株式会社(以下「サイトリ」)は、原発性直腸癌における腹腔鏡下手術及び一時的人工肛門造設術を施行する患者を対象に、癒着防止吸収性バリア『Cyt-006』の有効性及び安全性を検証する臨床試験を開始しますので、お知らせいたします。
背景
術後癒着は、外科手術における術後合併症であり、外科的に侵襲を受けた組織と周囲組織がくっつき、線維化が引き起こされることによって生じます。その結果、腸閉塞、激しい腹痛、不妊などの癒着合併症を引き起こし、患者さんに長く辛い苦痛を与えるリスクがあります。海外での術後癒着に関する調査では、原発性直腸癌に対する手術治療のおける術式別で、開腹手術では78.9%,腹腔鏡下手術では37.7%に術後癒着が発生したことが報告されています1)。
日本では、直腸癌と診断された人数は2018年で51,005例となっており、また、2020年には15,584人が亡くなっています2)。日本における内視鏡下外科手術は2019年では291,792件に上り、特に、腹部外科領域及び産婦人科領域での浸透が著しくなっています3)。内視鏡下腹腔内外科手術により、開腹手術に比べて術後癒着の発生率は減少しましたが、ロボット支援手術の適用拡大も進んでいることから、外科手術の対象組織や手術様式も多様化しております。これらのことからも、癒着防止吸収性バリア製品により多くの選択肢があることは臨床的に極めて重要と考えられます。
癒着防止吸収性バリア『Cyt-006』について
癒着防止吸収性バリア『Cyt-006』は、欧米及び日本を除くアジア各国で20年以上に渡って使用実績のある既存製品と同一組成のポリ乳酸からできているフィルム状の製品です。腹腔内の手術において、臓器や組織の間に『Cyt-006』を設置することで、その後の癒着が予防できます。さらに、『Cyt-006』の原材料のポリ乳酸は数多くの医用材料として用いられている生体吸収性物質であるため、外科的摘出の処置は必要ありません。なお、『Cyt-006』は、米国食品医薬品局(FDA)にて2021年1月7日に市販前届出510(k)認可を得て、米国内での販売が開始されています。
サイトリについて
サイトリは、癒着防止吸収性バリア『Cyt-006』の本治験を着実に実施し、製造販売承認申請を早期に目指すことで、患者と医療従事者への貢献を実現して参ります。
サイトリは、世界中の患者と医療従事者の方々のため、幅広い実用性のある高品質な治療の選択肢が提供できるよう日々取り組んでいます。とりわけサイトリの革新的なプラットフォームであるセルーションシステムによって、自己脂肪組織から採取した非培養脂肪組織由来再生(幹)細胞「Adipose Derived Regenerative Cells (ADRCs)」を用いて、多様な疾患治療を目的とした細胞治療の研究や開発に取り組んでいます。各種病態モデルにおける非臨床試験の論文において、ADRCsが血管新生作用、抗炎症作用、抗線維化作用などを有することが示唆されています。さらに、国内外での臨床試験報告も増えつつあります。
参照
1) Stommel MWJ, Ten Broek RPG, Strik C, Slooter GD, Verhoef C, Grünhagen DJ, van Duijvendijk P, Bemelmans MHA, den Dulk M, Sietses C, van Heek TNT, van den Boezem PB, de Wilt JHW, van Goor H. Multicenter Observational Study of Adhesion Formation After Open-and Laparoscopic Surgery for Colorectal Cancer. Ann Surg. 2018 Apr;267(4):743-748. doi: 10.1097/SLA.0000000000002175.
2) 国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センター がん情報サービス(更新・確認日:2022年05月11日) https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/7_rectal.html
3) 日本内視鏡外科学会学術委員会 内視鏡外科手術に関するアンケート調査-第15回集計結果報告-, 2021




